「会社を辞めずに、もう一つの収入源を作りたい」——そう考えるサラリーマンにとって、副業フランチャイズ(FC)は本部のノウハウとサポートを活用できる有力な選択肢です。無人店舗や委託型モデルの普及により、平日は本業、週末や空き時間だけオーナー業に集中する「両立型」の開業が2026年に広がりつつあります。
この記事では、就業規則の確認から確定申告、業態選びまで、会社員が副業FCを安全に始めるための全ステップを、公的機関のデータと具体的な数値を交えて解説します。
無人化・委託型モデルで実現する本業と両立の全ステップ
一般社団法人日本フランチャイズチェーン協会(JFA)の「2024年度フランチャイズチェーン統計調査」(2024年10月公表)によると、国内フランチャイズの市場規模(売上高)は約29.3兆円、チェーン数は約1,291チェーンにのぼります。30兆円目前まで拡大している成熟市場です。
そのなかでもコンビニ業態は大きな存在感を持ちます。JFAのコンビニエンスストア統計によると、2024年度のCVS全店売上高は12兆2,470億円(前年比+1.8%)でした。ただし暦年ベースでは2024年12月に全店売上が37か月ぶりのマイナスに転じており、必ずしも一本調子の右肩上がりではない点は押さえておく必要があります。2025年通年の統計は本記事執筆時点で未確定です。
市場全体は堅調な一方、コンビニのような大型・専業型モデルは会社員の副業には向きません。副業向けとして受け皿が広がっているのは、後述する少額・低稼働型のモデルです。
人手不足と人件費高騰を背景に、遠隔監視カメラやスマートロックを使った無人化技術が一般化しました。2025〜2026年にかけては、無人フィットネスジム、インドアゴルフ、無人販売所といった「オーナーの稼働が少ない無人店舗」や、自宅を拠点とする「無店舗ビジネス」が副業FCの中心となっています。
さらに、店舗運営のほぼすべてを本部やスタッフに任せ、オーナーは資金提供と数値管理に専念する「投資型・委託型」モデルも増加中です。平日は本業に集中し、手離れよく事業を回せる仕組みが支持を集めています。無人ジムの動向はフィットネスジムFCの将来性も参考にしてください。
副業FCで重要なのは「本業の勤務時間と衝突しないこと」「少人数・少資金で回せること」の2点です。代表的な業態を比較すると、それぞれ稼働スタイルや収益性が異なります。
上記のうち、おそうじ本舗などのハウスクリーニングやトータルリペアの出張リペアは土日のみの稼働が可能で、未経験でも一定期間の研修で技術を習得できる点が強みです。リユース・買取業は在庫リスクが比較的低く、事業が軌道に乗った段階で専業化する「ステップアップ型」を選ぶオーナーもいます。より少額で始められる業態は安く始められるフランチャイズの選び方も参考にしてください。
以下は各本部の一次公開情報およびFC情報メディアの事例を基にした目安です。同一ブランド内でも店舗規模やプランにより変動するため、必ず各本部の最新の情報開示書面で確認してください。
| 業態 | 初期投資目安 | ロイヤリティ | 稼働スタイル | 備考 |
|---|---|---|---|---|
| ハウスクリーニング | 100万〜300万円程度 | 定額/低率が多い | 土日中心・1人稼働 | おそうじ本舗は加盟金等を公式サイトで公開 |
| 出張リペア | 200万〜400万円程度 | 定額型が多い | 週末稼働・車1台 | トータルリペアが公式に加盟条件を掲載 |
| リユース・買取 | 300万〜800万円程度 | 売上の数%程度 | 省スペース店舗 | 買取大吉などが加盟情報を公開 |
| 無人店舗(ジム等) | 1,000万〜2,000万円程度 | 定額型が多い | 遠隔管理・低稼働 | 立地により収益差が大きい |
※上記の初期投資・ロイヤリティは本部公開情報とFC情報メディアの事例に基づく推定レンジです。年商は立地・稼働時間により大きく変動するため本記事では断定的な数値は示していません。実額は各本部の一次情報でご確認ください。
副業FCを始める前に、最初に確認すべきは本業の就業規則です。厚生労働省は「副業・兼業の促進に関するガイドライン」で企業に副業の原則容認を促しており、「モデル就業規則」からも「許可なく他社の業務に従事しないこと」という一律の禁止規定が見直されています。
ただし、次の2点は依然として制限対象になり得ます。
そのため、両立の最大のコツは「本業の就業規則を必ず確認し、必要なら事前申告・許可を取る」ことです。トラブルを避けるためにも、隠れて始めるのではなく、就業規則に沿った手続きを踏むことを強くおすすめします。
副業を「アルバイト(雇用契約)」で行う場合、労働基準法第38条により本業と労働時間が通算され、割増賃金や残業上限の対象となります。一方、FCオーナー(個人事業主)としての副業は労働時間通算の対象外となるケースが多いのがメリットです。ただし過労防止の観点から、健康管理・稼働時間の自己管理は欠かせません。
加えて、2024年11月施行の「フリーランス新法(特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律)」の定着により、本部からの業務委託ルールが透明化され、個人事業主として副業する会社員が守られやすい環境も整いつつあります。
実際に開業するまでの流れを、以下のステップで進めましょう。就業規則の確認から確定申告の準備まで、抜け漏れなく進めることが両立成功のカギです。
副業規定・競業避止義務・事前申告の要否を確認します。不明点は人事部門に問い合わせ、必要なら副業許可の手続きを取りましょう。隠れて始めるのはトラブルの元です。
平日夜・週末に使える時間と、開業に充てられる自己資金を洗い出します。無理のない範囲で稼働できる業態を絞り込むための前提整理です。
無人型・委託型・出張型など、両立しやすい業態を軸に複数本部の資料を取り寄せます。初期投資・ロイヤリティ・サポート体制・テリトリー権を比較しましょう。
法定開示書面でロイヤリティ計算方式や契約解除条件、初期投資の内訳を必ず確認します。既存オーナーの声や収益シミュレーションの根拠もチェックします。
初期の赤字期間を想定し、本業収入で生活を支えられるか検証します。回収期間と損益分岐点を数値で把握しておくことが安全策です。
税務署へ開業届と青色申告承認申請書を提出します。青色申告承認申請は原則として事業開始から2か月以内が期限のため、忘れず手続きしましょう。
本部の研修で技術・オペレーションを習得し、集客を開始します。会計ソフトで日々の売上・経費を記録し、確定申告に備えましょう。
サラリーマンであっても、副業による所得(売上から経費を引いた額)が年間20万円を超える場合は確定申告が必須です(国税庁)。なお、所得が20万円以下で所得税の確定申告が不要な場合でも、住民税の申告は別途必要になる点に注意してください。所得税と住民税で取り扱いが異なるため、混同しないようにしましょう。
FCで経費計上できる主な項目は次のとおりです。
事業開始前から青色申告の届出をしておくと、最大65万円の青色申告特別控除や赤字の繰越しといった税制メリットを受けられます。開業初年度は設備投資で赤字になりやすいため、この繰越制度は本業の給与と合わせた節税に有効です。会計ソフトの導入や税理士への相談も検討しましょう。開業初年度の収支感は開業1年目の月次収支シミュレーションも参考になります。
開業手続きに入る前に、以下の項目を確認しておきましょう。
就業規則の副業規定を確認した
競業避止・情報漏洩・事前申告の要否をチェック
副業に使える時間を明確にした
平日夜・週末で無理なく稼働できる範囲を把握
自己資金と借入計画を整理した
初期投資と運転資金を分けて用意
複数FC本部の条件を比較した
初期投資・ロイヤリティ・サポートを横並び比較
法定開示書面を精査した
契約解除条件・テリトリー権・初期投資内訳を確認
収益シミュレーションを作成した
損益分岐点と回収期間を数値化
開業届・青色申告の準備をした
青色申告承認申請は事業開始2か月以内が原則
確定申告・住民税申告の記帳体制を整えた
会計ソフト導入または税理士相談を検討
副業FCは比較的低リスクとはいえ、注意すべき点もあります。
まず、本業とのバランスです。稼働が増えすぎると本業のパフォーマンスが低下し、健康を損なうリスクがあります。無人型・委託型を選ぶか、外部スタッフを雇うなど、自分の可処分時間に合わせた業態選びが重要です。
次に、契約内容の精査です。ロイヤリティの計算方式(売上歩合か定額か)、契約解除の条件、テリトリー権の有無などは、加盟前に情報開示書面(法定開示書面)で必ず確認しましょう。良い面ばかりを強調する説明には注意が必要です。契約時の確認事項はフランチャイズ契約書チェック10項目にまとめています。
最後に、収益の過度な期待を避けることです。本部やメディアが示す好調事例の数字は、立地や稼働時間により大きく変動します。最初の数か月は赤字を想定し、本業の収入で生活を支えながら軌道に乗せる姿勢が現実的です。
住民税の額から判明するケースがあります。確定申告時に住民税を「自分で納付(普通徴収)」に設定すると本業給与と分離しやすくなりますが、自治体の運用によっては合算される場合もあります。就業規則で副業が認められている場合は、事前申告しておくのが最も安全です。
副業による所得(売上から経費を引いた額)が年間20万円を超える場合、所得税の確定申告が必須です。20万円以下で所得税申告が不要な場合でも、住民税の申告は別途必要です。加盟金・ロイヤリティ・消耗品費などは経費計上でき、青色申告なら最大65万円の特別控除が受けられます。
無人フィットネスジムやインドアゴルフなどの無人店舗、店舗運営を本部やスタッフに任せる委託型・投資型モデルが向いています。オーナーは数値管理に専念でき、稼働を最小限に抑えられます。
FCオーナーは個人事業主のため、アルバイト(雇用契約)と異なり労働基準法の労働時間通算の対象外となるケースが多いです。ただし過労防止のため、自己管理と健康配慮が重要です。
業態により幅がありますが、ハウスクリーニングなら100万〜300万円程度、出張リペアで200万〜400万円程度、リユース・買取で300万〜800万円程度が目安です。いずれも推定レンジのため、実額は各本部の情報開示書面で必ず確認してください。
サラリーマンの副業フランチャイズは、無人化・委託型モデルの普及により「本業を辞めずに始められる」現実的な選択肢になっています。約29.3兆円規模のFC市場で、100万〜数百万円の少額から参入できる業態も豊富です。
成功のカギは、(1) 就業規則を確認し競業避止・情報漏洩に配慮すること、(2) 年間20万円超の所得で確定申告が必要(20万円以下でも住民税申告は必要)なため青色申告で節税すること、(3) 自分の可処分時間に合った手離れの良い業態を選ぶこと、の3点です。
まずは複数のFC本部から資料を取り寄せ、収益シミュレーションと契約条件を比較検討することから始めましょう。リスクとリターンの両面を冷静に見極めれば、副業FCは将来の独立への確かな一歩になります。
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