Q. 開業初月の売上はどのくらいでしたか?
田中さん:初月は約35万円でした。正直、不安でいっぱいでしたが、FC本部からの案件紹介もあり、ゼロではなかったのが救いでした。最初の3か月は月商50万円前後で推移して、生活費ギリギリの状態が続きました。
Q. そこからどうやって売上を伸ばしたのですか?
田中さん:転機は4か月目です。前職の飲食業界の人脈を活かして、元同僚が働く飲食店に「厨房の定期清掃やりませんか?」と営業をかけたんです。飲食店のオーナーって、厨房のグリストラップやダクト清掃をどこに頼めばいいか分からず困っている方が多いんですよ。私は厨房の構造やHACCPなどの衛生管理基準を熟知しているので、「この人なら安心して任せられる」と信頼してもらえました。最初の1件が月額3万円の定期契約で、そこから口コミで広がっていきました。
飲食業経験が「武器」になった理由
Q. 異業種からの転身で、飲食業の経験がどう活きていますか?
田中さん:大きく3つあります。
飲食店特有の悩みに寄り添える営業力
飲食店オーナーは「営業時間外しか清掃を頼めない」「厨房の特殊な汚れを理解してほしい」という悩みを抱えています。私は飲食店の深夜・早朝のオペレーションを知っているので、「閉店後の23時から清掃に入ります」「グリストラップは月2回のペースがベストです」と具体的に提案できる。これが一般のクリーニング業者との圧倒的な差別化になっています。
接客・コミュニケーション力
飲食業で鍛えた「お客様の表情を読む力」「困りごとを先回りして解決する姿勢」は、ハウスクリーニングでもそのまま活きています。作業後に「次回はここも一緒にやりましょうか?」と提案するだけで、追加受注につながります。おそうじ本舗のデータでも、飲食店での接客経験を持つオーナーは口コミやリピート率が高い傾向にあるとされています。
体力と根性
飲食業で14時間以上立ちっぱなしの仕事を10年やってきたので、ハウスクリーニングの体力的な負荷は全く問題ありません。むしろ「飲食時代に比べたら天国」というのが正直な感想です(笑)。
BtoB案件の獲得が売上の柱に
Q. 現在の売上構成を教えてください。

田中さん:月商200万円の内訳は、ざっくり以下の通りです。
- BtoB(飲食店・オフィス向け定期清掃):約120万円(60%)
- BtoC(一般家庭向けスポット清掃):約60万円(30%)
- その他(エアコン・水回りの季節案件):約20万円(10%)
見ていただくと分かる通り、BtoB案件が売上の大半を占めています。飲食店の定期清掃は1件あたり月額2万〜5万円の継続契約になるので、20〜30件積み上げれば安定した売上基盤になります。一般家庭のスポット案件だけだと季節変動が大きいですが、BtoBの定期契約があるおかげで毎月の売上がブレにくいんです。
Q. 利益率はどのくらいですか?
田中さん:材料費と消耗品、車両の維持費などを差し引いて、営業利益率は約50〜55%くらいです。飲食業の利益率が一般的にFLコスト(食材費+人件費)で60〜70%かかることを考えると、圧倒的に手元に残ります。月商200万円なら手取りで100万円前後になる計算です。飲食時代の手取り28万円とは雲泥の差ですね。
FC加盟で感じたメリットと注意点
Q. FC加盟のメリットはどこに感じていますか?
田中さん:一番は「看板の力」です。個人で「田中クリーニング」と名乗るよりも、大手FCのブランド名があるだけで信頼度が全く違います。日本フランチャイズチェーン協会(JFA)の統計によると、日本のFC市場全体の売上高は29兆2,826億円(前年比+3.6%)と成長を続けており、消費者のFC利用への信頼は年々高まっています。
また、集客面でもFC本部のWebサイトやポータルサイト経由で問い合わせが来るので、自分でゼロから集客する必要がないのも大きいです。
Q. 逆に、注意すべき点はありますか?
田中さん:ロイヤリティの仕組みはしっかり確認した方がいいです。月額固定のところもあれば、売上に対するパーセンテージのところもあります。私が加盟したFCはリピーターからの売上にはロイヤリティがかからない仕組みだったので、頑張れば頑張るほど利益が残る構造になっていました。あとは「研修の質」ですね。研修が形だけのFCだと、技術不足でクレームにつながり、ブランドの看板を借りている意味がなくなってしまいます。
これから独立を考える方へのアドバイス
Q. 異業種からハウスクリーニングFCへの転身を考えている方にメッセージをお願いします。
田中さん:飲食業に限らず、サービス業で培った「お客様のために動く」というマインドは、ハウスクリーニングでそのまま武器になります。特に飲食業経験者は、BtoB営業で圧倒的なアドバンテージがあります。厨房の悩みが分かる清掃業者って、実はほとんどいないんですよ。
経済産業省も生活支援サービスへの補助事業を推進しており、市場の追い風は間違いなく吹いています。ただし、「楽して稼げる」わけではありません。最初の半年は地道に実績を積み上げる覚悟が必要です。でも、飲食業の過酷さを乗り越えてきた人なら、絶対にやれると思います。