個人事業主と法人の基本的な違いは?
まず両者の性質を整理しましょう。個人事業主は税務署に開業届を出すだけで開業でき、初期コストはほぼゼロ。一方法人は設立登記が必要で、株式会社なら実費で約22万〜25万円(合同会社なら約6万〜10万円)の設立費用がかかります。
フランチャイズ本部との契約の観点でも違いがあります。商工総合研究所などの調査によれば、資金力があり多店舗展開が見込める法人を優遇する本部が年々増加しており、新規募集で「法人のみ」を対象とする本部の割合が上昇傾向にあります。逆にハウスクリーニングや学習塾など、小規模独立を前提とした業態は個人事業主でも歓迎されます。
税金はどっちが安い?法人化の分岐点は年間売上1,000万円
個人事業主の所得税は累進課税で、課税所得が増えるほど税率が上がります。課税所得330万〜695万円で20%、695万〜900万円で23%、900万円を超えると33%、1,800万円超で40%となります(これに住民税10%が加算)。
一方、法人税の実効税率は中小法人でおおむね23〜34%程度で頭打ちになります。つまり、利益がある一定水準を超えると、法人のほうが税負担を抑えられるのです。
国税庁のインボイス制度特設サイト等でも示される通り、消費税の課税事業者となる基準は年間売上高1,000万円。この金額がFCビジネスにおける「個人から法人化(法人成り)を検討するベストなタイミング」の目安として広く認知されています。目安としては、課税所得が800万〜1,000万円を超えたあたりで法人化の節税メリットが個人を上回るケースが多くなります。
法人化すると、役員報酬を経費計上できる、家族に給与を払って所得分散できる、退職金や生命保険を活用できる、赤字を最大10年繰り越せる(個人は3年)など、節税の幅が大きく広がります。
社会保険の負担が「個人か法人か」の最大の分岐点
2026年時点で最も見逃せないのが社会保険です。
法人は社長1人だけでも社会保険(厚生年金・健康保険)への加入義務があります。役員報酬に対して会社と個人で折半して保険料を負担するため、報酬設定次第で年間数十万〜百万円規模のコストになります。一方、個人事業主は従業員が常時5人未満であれば社会保険は任意適用となるケースがあり、国民健康保険・国民年金で済む場合があります。
さらに厚生労働省の「社会保険適用拡大」により、2024年10月からパート・アルバイトへの社会保険適用対象が「従業員51人以上の企業」に拡大されました。アルバイトを多く抱えるコンビニや飲食FCでは、労使折半の社会保険料が重い負担になります。この負担をどう見積もるかが、個人・法人選択の重要な判断軸になっています。
フランチャイズの業態選びと合わせて検討したい方は、少人数で始められるフランチャイズの選び方もあわせてご覧ください。
2026年のインボイス制度見直しで法人化が加速
政府広報オンラインによると、2023年導入のインボイス制度は経過措置が段階的に縮小されます。2026年10月からは、免税事業者からの仕入税額控除の経過措置が80%から70%へ引き下げられ、負担軽減措置(2割特例等)も終了へと向かいます。
BtoB(企業間取引)の多いFC業態では、免税事業者のままだと取引先から敬遠されるリスクが高まります。このため、課税事業者への転換や法人成りを選ぶ個人オーナーが増加。ハウスクリーニングのおそうじ本舗のように法人顧客を開拓するタイミングでの法人化や、リユース業のように売上1,000万円突破を目安とした法人運営を推奨する本部も増えています。
個人・法人・メガフランチャイジーを比較
代表的な3つの開業形態を、費用・特徴で比較しました。自分の目指す規模感に照らして検討してください。