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業種解説10分で読める

介護・福祉フランチャイズの全体像 — 訪問介護・デイサービス・居宅支援の参入戦略

超高齢社会で成長する介護FC市場の選び方と始め方

介護・福祉フランチャイズが注目される背景

日本の超高齢化は加速の一途をたどり、介護産業の市場規模は2025年時点で約21兆円規模に達すると試算されています(経済産業省・みずほコーポレート銀行等の推計)。厚生労働省の第9期介護保険事業計画に基づく推計では、2026年度には約240万人(2022年度比で約25万人増) の介護職員が必要とされており、需要と供給の両面で大きなビジネスチャンスが広がっています。

介護・福祉フランチャイズが注目される背景

一方で、東京商工リサーチが2025年4月に発表した調査によると、2024年度の「老人福祉・介護事業」の倒産件数は過去最多の179件(前年度比36.6%増)に達しました。とりわけ訪問介護が86件と全体の約半数を占め、個人や小規模法人が2024年の基本報酬マイナス改定やヘルパー不足・人件費高騰に耐えきれず市場から退出しています。

こうした環境下で、効率的な運営システムと採用力を持つフランチャイズ(FC)本部への加盟ニーズが急増しているのです。日本フランチャイズチェーン協会(JFA)の2024年度統計では、全FCチェーンの売上高は29兆2,826億円(前年比+3.6%)、介護サービスを含む健康・高齢化対応分野の売上高は前年比+3.9%と堅調な成長を記録しています。

拡大し続ける介護市場

  • 介護産業の市場規模は約21兆円。2026年度には約240万人の介護職員が必要とされる
  • JFA統計によるとFC業界全体の売上高は29兆2,826億円(前年比+3.6%)、介護サービス分野は前年比+3.9%と堅調

参入のポイント — FC活用で差をつける

  • バックオフィスDX化や採用支援など本部の仕組みを活用すれば未経験・異業種からでも参入可能
  • 訪問介護・デイサービス・居宅支援の複合展開で収益の安定性とリスク分散を実現

リスク・注意点を把握する

  • 2024年度の介護事業倒産件数は過去最多の179件。訪問介護が86件と約半数を占める
  • 3年ごとの介護報酬改定や人材不足が最大のリスク要因。本部の支援体制を必ず確認すること

介護FCの主要3業態を理解する

介護・福祉フランチャイズは大きく「訪問介護」「デイサービス(通所介護)」「居宅介護支援」の3業態に分かれます。それぞれの特徴を正しく理解することが、参入戦略の第一歩です。

訪問介護 — 低投資・高需要だが人材確保が鍵

訪問介護はヘルパーが利用者の自宅を訪問し、身体介護や生活援助を提供するサービスです。事務所さえ確保すれば開業でき、初期投資が数百万円〜1,000万円程度と比較的低い点が魅力です。一方で、前述のとおり倒産件数が最も多い業態でもあります。成功の鍵は安定した人材確保と、効率的なスケジュール管理にあります。FCに加盟することで本部の採用ノウハウやICTシステムを活用でき、個人事業主よりも経営の安定性が高まります。

デイサービス(通所介護) — 施設型で安定収益を目指す

デイサービスは利用者が日中、施設に通って入浴・食事・機能訓練などを受けるサービスです。初期投資は施設の取得・改装費用を含め1,500万〜3,000万円程度が一般的ですが、1事業所あたりの月商は300万〜600万円が見込め、スケールメリットを出しやすいのが特徴です。近年はリハビリ特化型やお泊まりデイサービスなど、差別化モデルが増えています。

居宅介護支援 — ケアマネ事業で紹介ルートを内製化

居宅介護支援はケアマネジャー(介護支援専門員)がケアプランを作成し、介護サービスの調整を行う事業です。利用者の紹介ルートを自社内に持てるため、訪問介護やデイサービスとの複合展開で大きなシナジーが期待できます。初期費用100万〜300万円程度と極めて低く、自宅でも開業可能な点が強みです。

訪問介護FC

利用者の自宅を訪問し身体介護・生活援助を提供。低投資で開業可能だが人材確保が最大の課題。

おすすめポイント

  • 初期投資が数百万〜1,000万円と低め
  • 事務所のみで開業可能
  • 倒産件数が最も多い業態(2024年度86件)
初期投資目安500万〜1,000万円
月商目安150万〜400万円
必要人員サービス提供責任者1名+ヘルパー2.5名以上
訪問介護FCの詳細を見る
デイサービスFC

利用者が日中通所し入浴・食事・機能訓練を受ける施設型。初期投資は高めだがスケールメリット大。

おすすめポイント

  • リハビリ特化型やお泊まり型など差別化モデルが多数
  • 1事業所あたり月商300万〜600万円が目安
  • 施設取得・改装費用が必要
初期投資目安1,500万〜3,000万円
月商目安300万〜600万円
必要人員管理者・生活相談員・看護職員・機能訓練指導員・介護職員
デイサービスFCの詳細を見る
居宅介護支援FC

ケアマネジャーがケアプランを作成・調整。訪問介護やデイサービスへの自社紹介ルートを構築可能。

おすすめポイント

  • 初期投資100万〜300万円と極めて低コスト
  • 自宅開業も可能
  • 他業態との複合展開で最大のシナジー
初期投資目安100万〜300万円
月商目安50万〜150万円(ケアマネ1名あたり)
必要人員常勤ケアマネジャー1名以上
居宅介護支援FCの詳細を見る

業界トレンド — 2024〜2026年の最新動向

バックオフィスDX化が生存条件に

業界トレンド — 2024〜2026年の最新動向

小規模事業者の倒産理由の多くが「事務負担の増大」と「人手不足」です。複雑化する処遇改善加算制度への対応や介護報酬の請求処理は、現場スタッフだけでは限界があります。最新のFCモデルでは、本部が介護報酬請求・電話受付・労務管理などのバックオフィス業務を一括代行し、加盟店が現場のケアと採用・営業に専念できるDXパッケージが主流になっています。

異業種参入とSDGs志向の加速

飲食・小売・不動産など異業種からの介護FC参入が増加しています。介護報酬は国民健康保険団体連合会(国保連)を通じて国から支払われるため、売上未回収リスクが極めて低い制度ビジネスです。「持続可能な社会貢献性が高い事業」として企業のSDGs推進やCSR施策にも適合し、本業との相乗効果を生む新たな経営戦略として評価されています。

保険外サービスと複合型モデルの台頭

介護保険制度への過度な依存はリスクでもあります。報酬改定のたびに経営が揺れるためです。そこで注目されているのが、保険外(自費)の高齢者向け生活支援(見守り・家事代行・外出付き添い等)や、障がい者就労支援(B型)などを組み合わせた複合型FCモデルです。経済産業省も2025年度より自治体と民間企業が連携する「産福共創」モデルの実証事業を開始しており、保険外サービスの開発や企業参入を後押ししています。

ビジネスケアラー問題が追い風に

経済産業省の推計では、2030年には家族介護者の約4割(約318万人)が仕事をしながら介護をする「ビジネスケアラー」となり、介護離職や労働生産性低下による経済損失は年間約9.1兆円に上るとされています。この問題を背景に、民間介護サービスへの需要は今後さらに拡大する見通しです。

介護フランチャイズの始め方

介護FCへの参入は、業種特有の許認可や人員基準があるため一般的なFCよりも手順が複雑です。以下のステップに沿って、確実に進めましょう。

手順ガイド

1

業態選定と自己分析

訪問介護・デイサービス・居宅支援の3業態から、自身の資金力・経営経験・地域の介護需要に合ったモデルを選びます。複合展開も視野に入れましょう。

2

FC本部の比較・説明会参加

複数の本部の資料を取り寄せ、説明会や既存加盟店の見学に参加します。バックオフィス支援、採用サポート、研修体制、ロイヤリティ体系を比較してください。

3

事業計画策定と資金調達

本部のモデル収支を基に事業計画書を作成し、金融機関や日本政策金融公庫に融資相談を行います。介護事業は公共性が高いため融資が通りやすい傾向があります。

4

法人設立・指定申請・人員確保

介護保険事業の指定を受けるには法人格が必要です。各都道府県・市区町村に指定申請を行い、同時にサービス提供責任者や介護職員など法定人員の採用を進めます。申請から指定まで約2〜3ヶ月が目安です。

5

開業準備・研修・営業開始

本部の開業前研修を受講し、ICTシステムの導入、地域の居宅介護支援事業所・地域包括支援センターへの営業活動を開始します。開業後も本部SVの定期訪問や研修でサポートを受けられます。

成功するFC本部の見極め方 — 5つのチェックポイント

介護FCは「どの本部を選ぶか」で事業の成否が大きく分かれます。以下のポイントを基準に本部を比較しましょう。

成功するFC本部の見極め方 — 5つのチェックポイント

チェックリスト

バックオフィス代行の範囲は明確か

介護報酬請求、給与計算、労務管理などどこまで本部が代行するかを確認。対応範囲が広いほど現場負担が軽減されます。

採用支援・人材育成の仕組みがあるか

求人広告の一括出稿、自社研修機関、資格取得支援制度など、人材確保に直結するサポート体制を確認しましょう。

既存加盟店の収益実績が公開されているか

モデル収支だけでなく、実際の加盟店の平均売上・黒字化までの期間・撤退率などの実績データを開示しているかが信頼の指標です。

報酬改定や制度変更への対応力はあるか

3年ごとの介護報酬改定に迅速に対応する体制があるか。保険外サービスの開発支援や複合業態への展開サポートも重要です。

エリア戦略・商圏分析のデータが提供されるか

開業候補地の高齢者人口、既存事業所数、競合状況などのデータに基づくエリア分析を本部が提供してくれるか確認しましょう。

参入時のリスクと注意点

人材確保の壁

介護業界全体で慢性的な人手不足が続いています。特に訪問介護のヘルパー確保は最大の課題です。FC本部の採用支援制度(求人広告の一括出稿、自社教育機関、外国人材の受け入れサポートなど)が充実しているかを必ず確認しましょう。

介護報酬改定リスク

3年に一度の介護報酬改定は経営に直結します。2024年度改定では訪問介護の基本報酬がマイナス改定となり、多くの小規模事業者が打撃を受けました。複数業態の展開や保険外サービスの組み合わせでリスクヘッジを図ることが重要です。

地域ごとの競合・需要分析

高齢者人口が多い地域でも、すでに事業所が飽和しているケースがあります。開業前の商圏調査は必須です。各都道府県が公開する「介護サービス情報公表システム」で既存事業所数を確認し、本部のエリア分析データと照合しましょう。

コンプライアンスと行政指導

介護事業は行政の実地指導・監査の対象です。不正請求や人員基準の未達は、最悪の場合「指定取消」という事業停止処分を受けます。本部がコンプライアンス研修や定期的な運営チェックを行っているかも重要な選定基準です。

よくある質問

よくある質問

A

多くのFC本部ではオーナー自身に介護資格は不要です。サービス提供責任者や介護福祉士などの有資格スタッフを雇用すれば事業を運営できます。本部が採用支援や研修を提供するため、異業種からの参入者も多くいます。

A

加盟契約から開業までは一般的に3〜6ヶ月が目安です。法人設立、自治体への指定申請(約2〜3ヶ月)、人員の採用・研修、施設の準備などが主な工程となります。デイサービスの場合は施設改装が必要なためやや長くなります。

A

2024年度の訪問介護の倒産86件の多くは、事務負担や人材不足に対応できなかった個人・小規模事業者です。FC本部のバックオフィス代行、ICTシステム、採用ノウハウを活用することで、これらのリスクは大幅に軽減されます。ただし本部選びが最も重要です。

A

業態によって大きく異なります。居宅介護支援は約100万〜300万円、訪問介護は約500万〜1,000万円、デイサービスは約1,500万〜3,000万円が目安です。加盟金・ロイヤリティに加え、物件取得費や人件費の運転資金も考慮しましょう。

A

介護報酬はサービス提供月の翌々月に国保連から入金されるため、開業後2〜3ヶ月は売上がゼロの状態が続きます。最低でも3〜6ヶ月分の運転資金を確保するか、本部が提供するファクタリング(早期入金)制度を活用しましょう。

A

リハビリ特化型(歩行訓練・機能訓練)、認知症対応型、お泊まりデイサービス(夜間対応)など、特定のニーズに特化したモデルが効果的です。FC本部の独自プログラムやICTシステムで、サービス品質を標準化しつつ差別化を図れます。

A

可能です。居宅介護支援+訪問介護、デイサービス+訪問介護など、複合展開によって利用者の紹介ルートを内製化し、安定した集客と収益の多角化が期待できます。多くのFC本部が複合展開プランを用意しています。

まとめ

介護・福祉フランチャイズは、超高齢社会の日本において長期的な成長が見込める数少ない分野です。約21兆円規模の市場は今後さらに拡大し、ビジネスケアラー問題や地域包括ケアシステムの深化がサービス需要を後押しします。

一方で、2024年度の倒産件数が過去最多の179件に達したことが示すとおり、小規模・個人での参入にはリスクが伴います。FC本部のバックオフィス支援やDXツール、採用ノウハウを活用することで、未経験からでも安定した事業運営が可能になります。

参入にあたっては、「訪問介護」「デイサービス」「居宅介護支援」の3業態の特性を理解し、自身の資金力・経営経験・地域特性に合ったモデルを選ぶことが最も重要です。複数業態の複合展開や保険外サービスの導入でリスクを分散し、持続可能な介護ビジネスを構築しましょう。

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参考文献・出典

  1. 2024年度「老人福祉・介護事業」の倒産状況東京商工リサーチ(2025年4月)
  2. JFA フランチャイズチェーン統計調査(2024年度)一般社団法人日本フランチャイズチェーン協会(2025年10月)
  3. 介護分野の取組について(産福共創・ビジネスケアラー対策)経済産業省 ヘルスケア産業課(2025年)
  4. 第9期介護保険事業計画に基づく介護職員の必要数について厚生労働省(2024年)

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介護フランチャイズ訪問介護デイサービス居宅介護支援

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この記事の執筆者

フランチャイズコンパスの編集部です。フランチャイズ本部の公表資料・一次情報をもとに、開業資金・ロイヤリティ・契約条件・サポート体制を中立的な視点で調査・比較し、独立開業を検討する個人の意思決定に役立つ情報を発信しています。掲載する数値・条件は確認済みの情報のみを扱い、不明な項目は空欄のまま残す方針です。運営は株式会社プレスエー。

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