「加盟金0円」という説明の根拠が公式に見当たらない
明光義塾のフランチャイズを紹介する記事の多くが「加盟金0円」と書いている。当サイトも以前はそう書いていた。しかし公式の情報を当たり直したところ、公式のどのページにも「加盟金」という語が出てこない。
公式のFC募集サイトにある開業資金のページに並んでいるのは、次の6費目だけである。
「加盟金0円」と書くことと、「加盟金という費目が公式の開業プランに載っていない」ことは、意味が違う。前者は本部が加盟金を取らないと断定しているが、公式はそれを言っていない。実際、同じ個別指導塾の個別指導Axisは公式の内訳に「加盟金150万円」をはっきり書いている。書いているところは書く。明光義塾は書いていない。
当編集部が確認した範囲では、公式のよくあるご質問(全17問)にも「加盟金」「ロイヤルティ」という語は1回も出てこない。一方で同じページには「教室」が14回出てくるので、ページの中身自体はきちんと取得できている。加盟金については「0円」ではなく「公式に記載が無いので法定開示書面で確認するしかない」が正確な説明になる。
法定開示書面に何が書かれているかは「フランチャイズ契約書の読み方ガイド」と「フランチャイズ契約チェックリスト10項目」で整理している。
本部に払うのはロイヤルティ10%だけではない
公式は年間収支モデルの下に、次の注記を置いている。
ロイヤルティは授業料売上、講習費売上、維持費売上の10%です。情報システム料は月額生徒1人当たり476円、テレビCM等協力金は月額15,000円です(全て消費税別)
ここから分かることが2つある。
1つめ。ロイヤルティの対象は売上全部ではない。 授業料・講習費・維持費の3つが対象で、教材売上とテスト売上は対象外である。「売上の10%」とだけ書くと、対象外の売上まで課金されるように読めてしまう。
2つめ。ロイヤルティのほかに2つの固定的な負担がある。 公式の年間収支モデルに実際に計上されている金額を並べると、本部への支払いは次のようになる。
2,499,591 ÷ 20,339,917 = 12.29%。ロイヤルティだけを見て「10%」と考えると、本部への支払いを2割以上少なく見積もることになる。業種別のロイヤルティ相場と比べるときは、この3つを足した数字で比べたほうがいい。
公式の年間収支モデルは「生徒ちょうど50名」が前提
公式が掲載している年間収支モデルは次のとおり。金額はすべて公式の表に載っている数字である。
公式はこのモデルの元データについて「既存の直営教室のデータ(2017年9月〜2018年8月までの期間で、年間平均在籍生徒数が50名台の教室をランダムに抽出)を基に作成したもの」と書いている。ただし何名で計算したのかは書いていない。
ここは逆算できる。情報システム料は「月額生徒1人当たり476円」と公式が明記していて、モデルの計上額は285,600円である。
285,600 ÷ 476 ÷ 12 = 50.00
端数なくちょうど50名になる。つまりこのモデルは生徒50名の教室を想定した数字である(当編集部による逆算)。公式は別の箇所で「2018年8月末時点での明光義塾の全国平均生徒数は57.35名です」とも書いているので、モデルは全国平均よりやや小さい教室を描いていることになる。自分の事業計画を何名で引くかによって、この表はそのままでは使えない。
5,874,242円は手取りではない
公式はモデルの注記で、はっきりこう書いている。
教室長給与・福利厚生費はモデル収支に含まれておりません
そして公式のよくあるご質問は、オーナーの役割をこう説明している。
オーナーには、日々の教室運営を行う教室長という役割を担っていただき、生徒への学習指導は教室で雇用した講師が行います
この2つを合わせると、5,874,242円の意味がはっきりする。オーナー自身が教室長を務めるなら、この5,874,242円が実質的なオーナー報酬にあたる。教室長を雇うなら、ここからその人件費を引く。 開業1年目の収支を考えるときに最も誤解しやすい部分なので、「営業利益」や「年収」として読まないほうがいい。
公式はさらに、講師給与について「都道府県毎に毎年改定される最低賃金以上でなければならず、また、授業前後に業務を行わせた場合にはその給与も発生するため、実際の講師給与は上記数値より多くなることがあります」と注記している。モデルの講師給与4,873,210円は下振れしない側の数字ではない。
IRの実績と照らすと、モデル売上は実績平均の103.8%
このモデルが現実離れしていないかどうかは、同じ会社のIR資料で検算できる。2025年8月期決算短信の参考情報に、フランチャイズ教室の末端売上高と教室数が載っている。
- フランチャイズ教室末端売上高:23,191百万円
- フランチャイズ教室数(2025年8月31日時点):1,184教室
23,191百万円 ÷ 1,184教室 = 1教室あたり約1,959万円
モデルの売上20,339,917円は、この実績平均の 103.8% にあたる。モデルが実績からかけ離れた数字ではないことが確認できる。
比較できる理由も書いておく。決算短信の注記は「明光義塾教室末端売上高合計は、直営教室の授業料、教材費、テスト料等の全売上高と、フランチャイズ教室の授業料等の売上高を合計したものであり、フランチャイズ教室の教材費、テスト料等の売上高は含んでおりません」としている。モデルの売上も授業料・講習料・維持費だけなので、範囲がおおむね揃う。
ただし、これは期末の教室数で割った単純平均である。開校直後の教室も含まれているし、都市部と地方の差も均されている。自分が出す教室の数字ではない。
なお1教室あたりの在籍生徒数も計算できる。2025年8月期末はフランチャイズ65,561名 ÷ 1,184教室 = 55.37名。前の期は64,092名 ÷ 1,216教室 = 52.71名だったので、1教室あたりの生徒数は増えている。末端売上高で見ても1,838万円 → 1,959万円である。
教室数は減り続けている — 1,705 → 1,660 → 1,631
「全国約1,700教室」と書いている情報が多いが、直近の開示はもっと少ない。IR資料の参考情報を期末ごとに並べると次のようになる。
2年弱で74教室減っている。直営も489→472と減っているので、「フランチャイズを直営化した結果」では説明がつかない。本部が減少の理由をどう説明しているかは、当編集部が確認した範囲では決算短信の参考情報からは読み取れなかった。ここは推測せず、事実として「減っている」とだけ書いておく。
一方で、フランチャイズ教室の在籍生徒数は64,092名→65,561名と増えている。教室の数は減り、1教室あたりの生徒数は増えているというのが実際の姿である。
構成比で見ると、1,631教室のうちフランチャイズが1,159教室で約71%。明光義塾という看板の大半はフランチャイズのオーナーが支えている。出店を考えるときは、希望エリアに既に明光義塾があるかどうかを公式サイトの教室検索で自分で数えたほうがいい。
「個別指導No.1」の出典と、その基準日
明光義塾は「個別指導No.1」を掲げている。この根拠は消費者向け公式サイトの「数字が語る明光の実績や実態」に注記として書かれていて、(株)日本能率協会総合研究所2024年4月調べである。教室数と生徒数については、さらに2024年1月時点の数字であることも注記されている。
注意したいのは基準日である。この調べの基準は2024年1月〜4月のもので、本記事が参照している教室数(2026年5月31日時点・1,631教室)はそれより1年以上あとの数字にあたる。日本能率協会総合研究所の調査結果そのものを疑う材料は無いが、その順位をもって教室数も増えていると読むことはできない。実際、同じ期間に教室数は減っている。
なお、FC募集サイト側にも「生徒数・教室数ともに業界No.1です」という記述はあるが、こちらには出典の記載が無い。出典まで確認したい場合は消費者向け公式サイトの該当ページを見るとよい。
通期(2026年8月期)の決算短信は2026-10-03時点で未開示のため、本記事の最新値は第3四半期(2026年5月31日時点)のものである。
加盟条件として公式が明示していること
公式のよくあるご質問から、加盟を検討するうえで効く記述を原文のまま挙げる。
未経験でも可。資格も不要。
現在加盟されているオーナーの約5割の方が、未経験で始められました。資格も必要ありません。
年齢制限は無い。
特に年齢制限はございませんので、ご安心ください。
副業は不可。専業が前提。
誠に恐縮ですが、明光義塾事業はサイドビジネスとして行うにはあまりにもご負担が大きいと思います。加盟されたオーナー様には、オーナー御自身にて教室経営を行って頂く方針ですので、専業とご理解ください。
ここが他の学習塾フランチャイズと大きく違う点である。たとえば学研教室は自宅で週2回・1日3〜4時間程度からの開室を基本としていて、働き方の前提がまったく異なる。明光義塾は会社を辞めて専業で取り組む前提の仕組みになっている。会社員からの独立を考えている人向けではあるが、本業を続けながらの加盟は想定されていない。
そのほか公式が書いていること。
- 教室の広さは「約20坪から40坪前後のワンフロア(間仕切り等がない)の教室が理想的です」
- 集団授業の併設は一切不可
- 生徒構成は小学生2割・中学生6割・高校生2割
- オーナー(教室長)の仕事は生徒の学習管理・講師管理・父母の対応・経営管理とマネジメントで「生徒に勉強を教える必要はありません」
- 資金は「加盟されている方の多くは借入れをされて開業されています」とされ、日本政策金融公庫の利用が多いと案内されている
開業までの流れと研修
公式が示している流れは5段階で、各段階の所要期間も公式が示している。あわせて、よくあるご質問には「加盟についてお申込をいただいてから、加盟審査を経て加盟契約後に新任研修を受講していただくため、開校まで約2〜3ヶ月程度を要することがあります」とある。